――「愛された記憶」を未来に手渡すために
ふと、こんなことを考えたことはありませんか?
「この子が大人になったとき、赤ちゃんだった頃の写真を見なかったら、どう感じるんだろう?」
日々の忙しさに追われて、スマホにたまった写真を見返す時間もなく、
「いつかまとめよう」と思いながら気がつけば何年も経ってしまう。
そんなこと、誰にでもあります。
けれど、子どもにとって「自分の小さかった頃の姿を見返す時間」は、
思っている以上に、大きな意味を持つことがあるのです。
子どもが成長し、自分の幼少期や赤ちゃんの頃の写真を見返すことなく育ったとしたら、どんな影響があるのでしょうか。
実は、写真には「愛された記憶」を可視化し、自己肯定感を育む力があることが、さまざまな研究で明らかになっています。
自己肯定感を育む「写真の力」
株式会社ミクシィが新成人400人を対象に行った調査によると、子どもの頃の写真を見返すことで「自己肯定感を感じる」と答えた人は73.0%にのぼりました。
さらに、写真の枚数が多く、見返す頻度が高い人ほど、その傾向が強いこともわかっています。

また、家族写真を家に飾ることで、子どもが「自分は親から大切にされている」「今の自分が好きだ」と感じる割合が高まることが、篠原菊紀教授と岩立京子教授の共同研究で示されています。

写真を“残す”ことは、“未来に渡す”こと
写真は撮るだけでなく、ちゃんとカタチにして、残すことに意味があります。
画面の中で埋もれていくよりも、見える場所にあることで、
ふと開いた時に思い出と感情があふれてくる。
そうしたアルバムづくりが、家族の絆を深めるという声もあります。
大阪教育大学の小崎恭弘准教授は、「写真やアルバムは、青年期におけるアイデンティティーの確立にも大きく影響する」と語っています。
また、子どもの写真をアルバムにしている家庭では、家族の会話が活発で、夫婦のコミュニケーションも良好である傾向があることが、ROLLCAKE株式会社(無料のましかくプリントALBUSサービス提供会社)の調査で明らかになっています。

そんな一冊は、きっと将来、子どもにとって大きな宝物になるでしょう。
それは「思い出を忘れないため」だけじゃなく、
「私はこんなふうに育てられたんだ」と、自分を肯定できる支えにもなるのです。
わたしたち親ができること
デジタル化が進む現代、写真はスマートフォンやクラウドに保存されがちです。
しかし、写真をアルバムとして「カタチ」に残すことで、子どもは自分の成長を実感し、家族の愛情を再確認することができます。
それは、将来子どもが人生に迷ったとき、過去からの贈り物として、心の支えになるでしょう。
「あなたは小さい頃から、こんなに愛されていたんだよ」と、
言葉だけじゃなく、写真というカタチで伝えていけたら。
それはきっと、いつか子どもが人生に迷ったときにも
優しく背中を押してくれる“過去からの贈り物”になるはずです。